婚約

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婚約

婚約(婚姻の予約)」は、将来婚姻することを約束する男女間の合意です。

 挙式や同棲生活を始めて事実上の婚姻生活をしているが、婚姻の届出をしていない場合は、いわゆる内縁であって、婚約ではありません。

 民法は、婚約に関してなんら明文の規定をおいていないため、(1)婚約の成立要件、(2)婚約の有効性、(3)婚約の効果が問題となります。

婚約の成立要件

 婚約は、将来婚姻しようとする当事者間の合意によって成立します。特に儀式(結納の授受等)は不要です。

 婚約の社会的意味を理解できる能力(意思能力)があればいいので、婚姻適齢(男:18歳、女:16歳)に達していない者のした婚約も有効です。

婚約の有効性-婚姻障害との関係

 婚姻では婚姻障害(民731条以下)のないことが必要ですが、婚約が将来での婚姻を目的とすることから、若干の考慮を加えます。

(1)婚姻適齢に達していない者の婚約

  当事者間で、適齢に達した後に婚姻するという婚約は、有効です。
  しかし、そうでない婚約は、取り消すことができます。

(2)重婚禁止、近親婚禁止の婚約

  これは、無効です。婚約が、公序良俗に反することになります。

(3)再婚禁止期間中の女性の婚約

  再婚禁止期間経過後に婚姻するという婚約は、有効です。
  しかし、再婚禁止期間中に婚姻するという婚約は、取り消すことができます。

婚約の効力

(1)婚姻の強制

 婚姻が有効に成立すると、その結果として、当事者は婚姻を成立させるべき契約上の義務を相互に負います。しかし、当事者の一方が、その後に婚姻意思を失ってしまった場合は、その婚姻を強制することはできません。

  

(2)婚約の不当破棄

  (1)のことから、当事者がいつでも特別の理由がなくても、一方的に婚約を破棄することができることになります。しかし、正当な理由なく破棄した者、または責めに帰すべき事由によって相手方をして婚約を破棄するに至らせた者は、相手方に対して損害賠償責任を負います。この責任は、債務不履行責任です。

  

結納について  

  

 婚約の際に、いわゆる結納が交わされることも多いです。結納は、法律的には、婚姻の成立を確証し、あせわて婚姻が成立した場合に当事者ないし当事者両家の情誼を暑くする目的で授受される一種の贈与です。

 結納については、返還義務が問題となります。

(1)婚姻が成立しなかった場合

 結納を受領した者は、これを保持する法律上の理由がなくなり、不当利得として返還しなければなりません。
 ただし、贈与者が、婚姻の不成立について責に帰すべき事由があるときは、返還請求はできません(民130条類推)

  

(2)婚姻が成立した場合

 成立した場合は、後に離婚しても、受贈者は、結納を返還する義務はありません。結納は目的を達するからです。ここでいう「婚姻」とは、法律上の婚姻ではなく事実上の婚姻(内縁)でもいいと考えられています。
 ただし、事実上の婚姻が成立しても、その期間が比較的短く、しかも、当事者間の融和を欠き、相互間の情誼を厚くすものに至らなかったような場合には、結納授受の目的が達せられないので返還義務があるとする判例(大判S10.10.15)もあります。

  


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